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ゆめの森で大事にしていきたいこと

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ゆめの森が描く教育ビジョン、現場からのレポートなどについて掲載していきます。
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#義務教育学校

【取材#08】誰も見たことがない “本の森” 創造プロジェクト

学び舎 ゆめの森では校舎の内装全体に本が並べられ、子どもたちは本棚に囲まれた環境で過ごします。その様子はまるで、生い茂る木々に囲まれた「本の森」のよう。 「校舎の至るところに本を散りばめ、子どもたちは本とともに学校生活を送る」。誰も見たことがないその構想を形にする過程で力を注ぎ、奮闘してきた司書・図書担当教員の方々がいます。 今回は、山口ブックソムリエ、渡部デザイナー、鈴木デザイナーに、「本の森」をどのように創り上げられたのか、工夫されたこと、込められた想いなどをお伺いしまし

【取材#07】「道草」が生まれる学び舎を目指して (渡邉文隆)

2023年7月10日に竣工した「学び舎ゆめの森」の新校舎。その校舎設計を担い、教育理念に込められた思いを受け止め、建築設計として形にしたのが「アーキシップスタジオ・鈴木弘人大熊町教育施設設計業務共同企業体」です。 「どこにもない建物で、新しい教育を」。創造力をかけて、目に見えない構想を校舎として具現化した建築家の方々がいます。 今回は、株式会社アーキシップスタジオの渡邉文隆さんに、校舎建設へどのように取り組まれたのか、建物の魅力や工夫されたこと、込められた想いなどをお伺いしま

【取材#06】「難しい」より「おもしろい」の方が勝つ(新妻一輝)

認定こども園と義務教育学校が一体となり、0〜15歳のシームレスな学びを目指す「学び舎 ゆめの森」。今回は、2022年4月からゆめの森に着任し、ゆめの森の理念と向き合い現場でチャレンジを続けてきた新妻一輝デザイナーに、ここまでのプロセスや想いを聞きました。 ※「学び舎 ゆめの森」では義務教育課程の教師を「デザイナー」と呼んでいます。 特別支援学級で自分の視野を広げたい ―特別支援担当の新妻デザイナーですが、以前から支援級の先生だったのですか? いわきや郡山で通常学級の講

【取材#05】理想の社会のモデル「学び舎 ゆめの森」(南郷 市兵)

認定こども園と義務教育学校が一体となり、0〜15歳のシームレスな学びを目指す「学び舎 ゆめの森」。それは、公教育においてどのような意味があるのか。日本社会でどのような使命を果たすのか。南郷市兵GM(校長・園長)にお話をお聞きしました。 ※「学び舎 ゆめの森」では校長・園長を「GM」と呼んでいます。 学ぶ意味を見出した、原体験。 ―教育に携わる原点を聞かせてください。 もともと、小学校・中学校と、教室での勉強にはあまり意味を感じられず、好きではなかったんです。 高校は

【取材#04】「こうでなければならない」からの解放(増子 啓信)

認定こども園と義務教育学校が一体となり、0〜15歳のシームレスな学びを目指す「学び舎 ゆめの森」。ゆめの森創設にあたり、増子啓信GM(副校長)が考える教育方針、子どもたちの「個別最適な学び」への取り組みについて、お話をお聞きしました。 ※「学び舎 ゆめの森」では副校長を「GM」と呼んでいます。 「子どもたちのために、何ができたのか」 ―ゆめの森の構想に入る以前は、福島県の小学校教師として、また教頭として、ずっと現場で教えてこられたんですよね。 全校生徒の多い、いわゆ

【取材#02】「幼児教育の都づくり」がはじまる(渡辺滝)

認定こども園と義務教育学校が一体となり、0〜15歳のシームレスな学びを目指す「学び舎 ゆめの森」。認定こども園の渡辺滝マネージャー(副園長)が考えるゆめの森の在り方、デザイナーと共に目指す学びについて、お話をお聞きしました。 ※「学び舎ゆめの森」では副園長を「マネージャー」と呼んでいます。 夢は体育教師だったはずが・・・ ―もともとは体育教師を目指していたと伺いました。なぜ幼児教育に方向転換したのですか? 幼児教育の世界に入るとは、まったく想像していなかったです。バレ

【取材#01】遊びに熱中する瞬間を、見逃したくない

認定こども園と義務教育学校が一体となり、0〜15歳のシームレスな学びを目指す「学び舎 ゆめの森」。認定こども園ではたらく佐久間デザイナー、新妻デザイナーに、日々の保育で感じていることを聞きました。 ※「学び舎 ゆめの森」では教師・保育教諭を「先生」ではなく「デザイナー」と呼んでいます。 少人数だからできる多様性あふれる保育 ―デザイナーとして大切にしていることは何ですか? 佐久間デザイナー:子どもが遊びに集中できる環境をつくることを意識しています。「探究」モードになる

「ゆめの森」の校章を考えよう!

見たこと・感じたことを言葉や形にする練習 大熊町立学校では、新しく整備される「ゆめの森」の校章を、グラフィックデザイナーの廣村正彰さん(廣村デザイン事務所・代表)と児童生徒が一緒になって考えてきました。3回目のWSとなったこの日は、校章のイメージをみんなで膨らませました。 参加したのは、小学校・中学校の児童生徒の皆さん・先生方、教育委員会の増子先生(写真右)、設計者である飯田善彦・鈴木弘人大熊町教育施設設計業務共同企業体のメンバーでした。 そしてWSの講師は、廣村デザイン

はじめまして、大熊町教育委員会です(後編)

前編はこちらから! 2011年3月11日のこと2011年3月11日午後2時46分。福島県大熊町は震度6強の揺れに見舞われました。津波は沿岸部の約2平方kmに浸水。町民12人が犠牲になりました。大熊町には、東京電力福島第一原子力発電所が立地しています。沿岸部にある福島第一原発も10mを越える津波に襲われ、電源喪失、1~4号機が放射性物質を放出する事態に至りました。 3月12日、大熊町の全域に避難指示が出されました。多くの町民が「2、3日のつもりだった」避難は、10年以上が経

はじめまして、大熊町教育委員会です(前編)

大熊町って?大熊町は、福島県の「浜通り」と呼ばれる太平洋に面した地域にある、人口1万人ほどの自治体です。とはいえ、普通の町とは少し事情が異なります。 2011年3月11日の東日本大震災に伴う原子力発電所の事故で、一時は全ての町民が町外に避難しました。「全町避難」と呼ばれるその状況は8年余り続き、町役場が町内での業務を再開したのが2019年5月。それから、公営住宅が建ち、商業施設ができ、福祉施設が完成し、2021年9月には交流施設と宿泊施設がオープンしました。私たちはまさに