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設計事務所メンバーで現場見学

はじめに

皆さまこんにちは。2023年春、福島県大熊町大川原地区に開校予定の大熊町立学び舎ゆめの森を設計するチーム「アーキシップスタジオ・鈴木弘人大熊町教育施設設計業務共同企業体」メンバーの塚本です。
私たち設計者は、2020年9月にプロポーザルで選定頂き、大熊町と共に議論を進めながら2021年10月までに基本設計・実施設計を完了しました。2023年3月現在学び舎ゆめの森は大熊町大川原地区で建設をしている最中です。

建設中の学び舎ゆめの森を見学する

2022年末には現地で焼き芋会をしたり、まっさらな状態でしたが、約1年で工事がかなり進みました。構造躯体が立ち上がり、建具の取り付けや内装工事、付帯施設の工事など日々目まぐるしく工程が進んでいます。

現場が進行する間も、学校や大熊町の皆さんと現場の状況や学校生活の様子などをnoteを使いながら発信することを行なってきました。
生徒の皆さんの日々の成長や、先生方の教育の現場での試行錯誤を垣間見れるのでぜひご覧ください。

いざ見学!

その中で今回は事務所のメンバー約10名で仕上げに入る前の段階の学び舎ゆめの森の建物の様子を見る事が出来ました。

建物の外観を見る

エントランスゾーン

公営住宅に面するエントランスの様子です。
体育館の配置などを何度も検討したり、公営住宅との距離感を調整しながら現在の配置に決まりました。

まずはエントランスゾーンを歩いてみて回りました。
幕板は日に当たるとより綺麗な木の色が分かります。
経年変化で色がグレーに近づいていくので、色の変化も楽しみです。
1階の建具は少し赤っぽくて、壁面は茶色の木が貼ってあります!
子どもたちがワクワクするような色彩です。

体育館アリーナ

体育館アリーナもセットバックしているので、圧迫感は軽減されて伸び伸びとした水平線を感じられます。
体育館のボリューム感を感じさせないようにどう全体に取り込むか?
は設計のなかでの大きな課題でした。

軒天はラーチ合板になります。

建物の内観を見る

どきどきアトリエ~すくすく遊び室

音楽室やランチルームなどが並ぶどきどきアトリエや幼保ゾーンであるすくすく遊び室。
中に入ると三角形の構造フレームが見えてきます。
ここでも赤っぽい色が特徴的な建具が映えて、外の風景を取り込みながら室内の居場所も一緒に作っています。

各部屋に玄関があるのが幼保の部屋の大きな特徴です。
三角形のトップライトがあちこちに取りつきます。
お昼寝の時には、じっと見入ってしまうかもしれませんね(笑)

みんなの中庭

幼保・小学校ゾーンに接する円形の中庭空間は町からのアイデアを取り入れて計画しました。
雨の日でも外で活動できる重要なスペースで、広さは大きすぎず小さすぎずで丁度よさそうでした!

2階で受ける雨水の一部を遊びに使えるように検討中のようです!

のびのび学び室

小学校ゾーンの雰囲気も建具が入ってより空間のイメージを感じられるようになりました。
子どもたちが自ら学びをデザインできる自由な教室を作りたいという町の要望を受けて、教室は不定形で区切りが緩やかになっています。

不定形な教室が特徴です。大熊ならではの教育の場です。

図書ひろば

図書ひろばは学び舎ゆめの森のなかでも中心的な場所になります。まだ躯体が上がってきた段階で、足場が立っているので全貌は分かりにくい状態でしたが、ダイナミックな空間が出来上がってきているのを感じました。

幼保・小学校ゾーンに面する床の高さが少し下がっているのがポイントです。

2階も登ってみた

屋外広場が気持ち良い

工事は1階の方が進んでおり、2階はまだまだこれからという状況です。
その中でも印象的な場所の写真をご紹介します。

ぐんぐん学び室(中学校ゾーン)に面する2階の屋外広場の様子です。

2階の屋外広場は敷地周辺の林地との心地よい距離感が印象的でした。
景色が水平に広がる気持ちの良い場所に感じられました。

小学校ゾーン前の外部空間に面する場所はスラブが出っ張ります。

隣接する常磐自動車道の高さが2階の床の高さとほとんど同じで、この建物がなかったら体験できない景色を楽しめます。

常磐自動車道との間には運動場があり、騒音等が気にならないように計画されています。

遊びの要素

床から飛び出ている色々な形の開口が、子どもたちの遊び場所になっていて、重要な要素になっています。

音楽室のトップライトは2階から見るとこんな感じです!
幼保ゾーンに設置予定のひょうたん型のネット遊具

2階の外装材

1階の外観とはまた違った素材の外壁材を使う予定の2階の外観です。
どんな風に1階と2階で違いが出るのかこれから工事が進んでいくのが楽しみです。

コーナーの納まりが難しそう・・・!

体育館アリーナの内部

体育館アリーナも足場はあるものの天井の仕上げを確認する事が出来ました。
天井が高く感じられて思わずみんなで「お~~~っ!!」とテンションが上がってしまいました!

立派な体育館に思わず見入ってしまいます。。
天井の仕上げ材は木毛セメント板。鉄骨梁の塗装はすこしベージュがかった色でいい感じです!
2階はランニングで使えるようになっています。

事務所スタッフの感想を聞いてみた

学び舎ゆめの森の設計チーム以外のメンバーも見学し、様々なフィードバックを行いました。
模型や図面では分からない事が現場で実際に体験できるのは、貴重な経験になります。
参加したメンバーに感想を聞いてみました。

三角形という特異なかたちが、内部空間と同様に外部空間にも、様々な居場所をつくっているように感じました。都心の教育施設とは違い、360°開けたこの場所ならではの建築だと思います。

アーキシップスタジオ 木村
2階の大学サテライト室に面する中庭

音楽室のトップライトから落ちてくる光が印象的でした。のびやかに広がる軒がありながら明るい場所を多く作れていて凄いです。三角形のグリッドで複雑に見えた現場で監理がとても大変そうでしたが、完成してどう整理されるのかとても楽しみになりました。

アーキシップスタジオ 石本
象徴的な音楽室のトップライト

大熊の現場を見学して、印象に残ったのは教室などの学習スペースです。三角形の吹き抜けがある教室、軒下空間と一緒に使える教室、そこから見える風景もそれぞれ違って、わくわくするような場所が沢山ありました。建築が新しい学習環境を形作っていると感じました。

アーキシップスタジオ 高橋
外と中を繋げる大きな庇下空間

CGで確認する空間と印象が違って見えたり、各部屋毎に平面が扇状に広がるため窓から見える景色が変わる事が分かったり、実際の建物を経験する事で始めて理解したことが沢山ありました。他の現場では塗装の色を合わせるのに苦労していたので、体育館の梁の塗装の色はどうやって決めたのか?等細かな所も質問させて頂きました。内装が仕上がって完成した際にはまた質問攻めになりそうな予感です(笑)

アーキシップスタジオ 塚本

終わりに

今年の6月に完成予定との事で、ここからさらに加速度的に工事が進むので楽しみです。
設計チーム・施工チーム一丸となって工事を進めているので、また進捗をお伝え出来ればと思います。