【日々の活動】千年続く物語
皆さん、こんにちは。
寒さの底に、春の胎動を感じる毎日。
この時節になると、中学の頃学んだ大岡信の詩を思い出します。
この詩のモチーフは変調され、ゆめの森演劇「きおくの森」の中にも登場しました。
「春はね・・、冬の喜んだ姿なの。春は冬の笑顔。」
青の少女のセリフです。
昨日、私たちは大熊町の3.11の集いに参加しました。
青空の下、からりとした風に吹かれて天を舞う色とりどりの折り鶴を見上げ、眩しい陽光に目を細めながらも、心はやはり「あの日」を漂います。
「あの日」を知らぬ児童たちも、集う人々の表情から、一生懸命彼らなりに「あの日」の断片を空に探しているようです。
「あの日」は多くの人間の運命を変えました。
私は軽々とそれらを語ることはできません。
この町の大地に染み込んだ疼痛にも似た「無数の思い」。
しかし、不遜にも私は思うのです。
今のゆめの森の姿こそ、冬を捧げた春の姿、冬の笑顔なのではないか、と。
・・私の心象に、青い空の下、地の下から熟れた冬を吸い込んだ満開の巨木が聳え、浮かんできます。
これを、センチメンタルな感傷と嗤わないでください。
これは、空想ではなく、現実になるのです。
先週の金曜日3月8日のことです。
ゆめの森本の広場において「きぼうの桜植樹記念式典」が行われました。
そして式典後、今年ゆめの森を巣立つ九年生二人とこども園園児の手により、「きぼうの桜」が大熊に植樹されました。
はて、きぼうの桜とは何ぞや?
手元に資料があるので書き写します。
9年生によって植樹された宇宙桜は、樹齢千年級の名桜の直系子孫であり、大切に養育すれば三十一世紀まで生き続けるとのこと。
・・千年後、少女の手によって植えられた桜が、巨木となり、満開となる。
その下で未来の児童たち(もしかしたら、二人の子孫かもしれない)がそれを見上げ、千年前の物語に想いをはせる・・。
「きぼうの桜」は、大熊町役場横の頭森公園で見ることができます。
まだか細き苗木ですが、30年で大樹に成長するそう。
桜の季節が、さらに一層待ち遠しくなりそうです。
我がゆめの森を支え続けた九年生。
いよいよ明日、ゆめの森を巣立ちます。
大熊の土に沁みた無数の思い出と、会津若松のやわらかい雪解け水を吸い込んで、
溢れ出る季節「千年続く物語」が、また新しい章を刻みます。