【行事】自画像ワークショップを開きました
ゆめの森で、その道のプロをお招きして不定期に開かれる「ワークショップ」。今回の似顔絵ワークショップは、ゆめの森へ何年も足を運んでくださってる画家の蟹江杏さんが主催です。アトリエANZの皆さん、「かもめの本棚」編集の村尾さんもお手伝いして下さいました。
机に並んだ絵の具、クレパス、クレヨン、紙コップ、スポンジ、はさみ、のり、そして2枚の大きな画用紙。自画像ならなんとなくでも描ける気がしますが、なんとなくで描いても面白くありません。画家である杏さんが、今回のために「二つのルール」を作りました。
絵といえば鉛筆や絵の具を使って描くイメージがあります。スポンジで塗る??と首をかしげていたみんなですが、杏さんが選んだたった二色が美しく混ざりながら広がっていくのを見て驚きの表情。すぐに紙皿に絵の具を出してそれぞれの色を広げていきました。二色を完全に混ぜたり、片方の色のアクセントにしたり、二色の個性を生かしたまま塗り広げたりと、何一つとして同じ絵はありません。さらには、誰が教えるでもなくスポンジを回転して模様にしたり、手で塗り広げてさらなる変化を求めたりと、子どもたちの創意工夫の力に驚かされるばかりでした。
残るもう一枚の画用紙に自画像を描き始めようとしますが、ここで杏さんが作った二つ目のルール「自分の鼻を紙で切って真ん中に貼る」。自分の鼻の形をiPadの内カメラでじっと見て形を捉えます。みんな好きな色の折り紙を鼻にあて、自分の鼻を紙に起こそうと試行していました。
幼い子どもたちに比べれば絵を描いた経験も豊富な9年生ですが、このルールがあることで絵を描く楽しさを再発見。完成が予想できない状態で絵を描くのはとてもわくわくするようでした。
鼻を中心に貼った後は、使いたい画材で自分の顔を書き進めます。鼻を起点に顔を書き進めるのは慣れていないのでは…と勝手に心配しましたが、子どもたちの手は休まることを知らず、どんどん自画像を完成させていきました。
描き上げた自画像は、先ほどスポンジで描いた厚い画用紙に顔だけを切り取って貼りつけていよいよ完成です。二つを組み合わせた後も、折り紙の鶴を貼りつけたり、自分の好きな物を鉛筆で書き加えたり。それぞれの個性が二重三重に現れた素敵な自画像が生まれました。
杏さんが最後に少しだけ種明かししてくれた「紙の鼻」の秘密。紙で鼻を作ることで、鼻だけが平面になります。そこに絵を描き加えていくのはどうしても描きづらく、負荷がかかるようになります。杏さんはその負荷を体験してもらうことをねらいとしていたそうです。
知ってか知らずか、子どもたちは終始楽しそうに絵を描き続けていたように思います。「自由」の具現化とも思われる絵ですが、あえて制約を設けることで通常では生まれない工夫や面白さが生まれ、さらに表現の幅が広がるのは面白いなと感じました。今回のワークショップを経て子どもたちにどんな変化が起きたのか、子どもたちが生み出す作品から見取ることが出来たらと思います。