【日々の記録】7/18 大熊に出会う。大熊とつながる。大熊で続ける。
皆さん、こんにちは。
ここ大熊では、トンボが大発生。朝学校にきてみると、壁一面トンボだらけです。歩けば、体の至る所にトンボがとまってきます。ああ、これが大熊の風物詩なのかと一人納得していたところ、「そんなことはない。今年は異常だ。」とのこと。
休み明け、トンボの異常発生に案の定、大騒ぎの子どもたち。みんな元気だね。よかったよ。
さて本日も、先週の金曜日に引き続き、ネイチャーラボを行いました。本日訪れたのは佐藤亜紀さんのご自宅です。亜紀さんは大熊町在住のミュージシャンであり、農業、町づくり、移住支援など精力的に活動なさっている多才なお方です。
さあ、亜紀さんとの出会いから、どんな化学反応が生まれるでしょうか?
本日の大熊町の気温、軽々と30度を超えてきました。さすがの子どもたちも、暑さに少々バテ気味です。それでも挨拶は、気持ちの良いチームゆめの森。
「どうぞよろしくお願いいたします!」
「ようこそ!ここが私のうちです。」
笑顔が素敵な亜紀さんが、元気に迎えてくださいました。
「まず、キウイ畑を見にいきましょう。」
亜紀さんに案内され、チームゆめの森は奥へと進みます。庭も広く、お家の裏には山林が広がっています。お庭に太いケヤキが何本も聳え立つ景色は圧巻です。
「ここがキウイ畑です。」
ケヤキの道をぬけたところにキウイの木が棚に育っています。
「虫だ!!」「カエルーっ!」
大騒ぎしながらも、みんなでキウイ棚の下に潜り込みます。上を見上げれば、小振りながらもたくさんのキウイが揺れています。
「これ、もう食べられるの?」
やっぱり、この質問が出ます。確かにもぎたてキウイは食べてみたいよね。みんなの輝く目が、一斉に小さなキウイに注がれます。すると、亜紀さん、
「残念だけど、今はまだ食べられないの。このまま秋過ぎるまで待って、収穫するんだよ。」
「じゃ、秋に食べられるの?」
やっぱり、そこが気になるようです。
「ううん。キウイは収穫してから追熟させないと甘くならないんだよ。」
食べるチャンスが更に先に延びて小さく肩をおとす子どもたち・・。
「でも、甘くなったらみんなで食べようね!」
亜紀さんの嬉しい申し出に子どもたちの顔がみるみる輝きます。
「あの、すみません。」
9年生が真っ直ぐに手を上げています。
「あの、私たち、社会の授業で大熊のフルーツでパフェを作りたいのですが、ご協力いただけませんか?」
9年生からビジネスの交渉が始まります。
「ええ、ぜひ。どうぞ使ってください。楽しみ!」
亜紀さんから無事OKをもらえた9年生。まるで企業の敏腕バイヤーのようです。
かっこいい!
キウイの次は、池を見にいきます。庭の前には大きな池があり、立派な錦鯉が泳いでいます。錦鯉の他にも、見ると小さい魚が無数に泳いでいます。
「あれは何?」
先日の岩魚のおかげか、子どもたちは魚に興味津々です。
「オイカワです。水路からどんどん入ってきちゃって困ってるの。」
「いいなー。欲しいなあ。」
「うん。今度来るとき、網を持っておいでよ。捕まえてもいいよ。」
亜紀さんとまたしても魅力的なお約束をいただきました。
池の隣には小さな水路があります。そこにはカワニナがたくさん生息しています。次はカワニナの観察です。カワニナとは清流に住む1センチ程度の黒い小さな巻貝です。なぜ私たちがこの小さな巻貝に注目しているのか。それは、カワニナは蛍の幼虫の餌になる唯一の貝だからです。つまり、カワニナのいるところに蛍がいるのです。蛍舞い飛ぶ、私たちのふるさと。なんて、ロマンティックなのでしょう。
酷暑の中、見つめるカワニナの先に、ぼんやりと蛍舞う風景が心象となり、浮かんでは消えていきます。
「次は田んぼを見にいきましょう!」
亜紀さんの元気な声で、蛍の幻燈から目が覚めました。
家の前の坂を下っていくと、田んぼが広がっています。風が吹き抜け、稲の先を揺らし、いくばくか涼しく感じます。
「これは五百万石というお米です。五百万石は普段食べるお米と違って、お酒を造るためのお米、酒米です。」
流石に馥郁たるお酒を醸す米だと教えても、子どもたちにはピンとこないようです。そんな様子を感じてか、快活な亜紀さんが、
「秋の稲刈りは、みんなも手伝ってくれたら嬉しいなあ。」
子どもたち一同、口を揃えて、
「やってみたーい!!」
世間によくある「体験教室」。「〜体験」といっても、多くは一回やってそれっきり。もちろん、一回でも「体験すること」は貴重なことです。しかし、「やりました。」「楽しかったです。」だけでなく、「出会って、体験して、経過を観察して、また体験して」の方が、はるかに稔りが大きいはずです。
今日亜紀さんと出会い、新しい発見をたくさんしました。それから、亜紀さんからは、幾つもの「未来への約束」をいただきました。
これから、私たちは、亜紀さんとどんな大熊の物語を紡いでいけるのだろう・・。
一回こっきりの「体験」も大切だけど、大熊で出会い、大熊と繋がり、一人一人の大熊の物語を紡いでいく。ゆめの森の未来は、今始まったばかりです。