【日々の記録】小さなショッピングモール
皆さん、こんにちは。
突然ですが、クイズです。
①カメラの中には、何がいるでしょう?・・・答えは、かめ。
②じゃあ、冷蔵庫の中には、何がいるでしょう?・・・もう分かりましたね?
答えは、ぞう!では、最後の問題です!
③体のなかには、何があるでしょう?
ん?五臓六腑に、血液もかな?・・大人の皆さん、頭を柔くして考えてください。
答えは・・・、「何もない。」つまり、からだ。(空だ)
どうですか?パチン!ととんちが効いているでしょう?
これらは1年生が考えたなぞなぞです。たわいも無い言葉の遊びと言ってしまえばそれまでですが、なかなかどうして創造的で、十分に知的遊戯とも言えませんか?児童たちの日常の「無駄口」や「駄洒落」も、耳を澄まして聞いてみれば、時にイキイキした日本語が、あちらこちらに躍動しています。
さて、今日は1年生のこども園さん訪問です。こども園の皆さんに楽しんでもらえるよう、1年生は上記のなぞなぞクイズを考えて準備しました。他にも絵本の読み聞かせや、お買い物ごっこなどかなりの力の入れ様です。ちょっと、様子を見に行きましょう。
「いらっしゃい!いらっしゃい!」
「おう。安いよ!安いよー!」
校舎の一角から威勢の良い掛け声が響いています。どうやら力作クイズの時間は無事にすぎ、お買い物ごっこが始まっている様です。
1年生は「お店」のオープンに向けて金曜日に一度予行練習(プレオープン)を行いました。本日いよいよこども園さんを迎えての本格オープンです。
教室を覗くと、すでに黒山の人だかり。盛況のようです。くだもの屋、花屋、おにぎり屋にスポーツ用品店と小さなお店がずらりと並んでいます。小さなお店の小さなお客様をかき分けかき分け陳列棚を見てみると、それぞれ魅力的な商品が所狭しと並んでいます。
色鮮やかな売り場の後ろには、小さなお客様相手に、これまた小さな店員さんが一生懸命お愛想振りまいています。それぞれ自分の商品のセールスポイントの説明に余念がありません。お手製の札ビラが飛び交い、どうやら大繁盛のようです。
私もお札を手に入れたので、早速お買い物を楽しみましょう。
まずは果物やさんです。
「くださいな。」と私。
「いらっしゃいませ。」と店員さん。おもてなしの第一歩は大丈夫なようです。
「おすすめの果物はどれですか?」と私。
すると、んーとしばし悩んで、「これです。バナナ。しししし。」意味がありげな笑みと共におすすめしてくれます。早速バナナを買い求め、次のお店です。
「安いよ安いよー!」一際活気があるお店はおにぎり屋さんです。品数は少ないものの、どれも人気商品だそうです。ツナマヨおにぎりは扱っていないとのことなので牛すきおにぎりを購入です。
「ありがとうございました。また来てください。」気持ちのいい挨拶に、こちらも更に買い物に弾みがつきます。
お隣を見ているとスポーツ用品店です。女性デザイナー相手にセールストークです。ちょっと耳を傾けます。
「先生ね、あんまりスポーツ得意じゃ無いんだよね・・。」
「じゃあ、ユニホームは?パジャマにもなるしさー。」なんと!需要のないところに需要を生み出す素晴らしい営業です。
「あとはね、サッカーボール。サッカーは簡単だし、昼休み体育館にくれば教えてあげるよ。サッカーすれば友達もできるし。」ものだけではなく、それに付随するライフスタイルまで提示して購買意欲を掻き立てています。そこに、
「ボール買ってくれたら、ゴールもおまけでつけちゃいまーす。」
傾きかけた相手に更にダメ押しの営業です。
「じゃあ、ください。」
めでたくお買い上げです。プロ顔負けのセールストークに隣で見ていて私は目を丸くしてしまいました。
優秀な営業マンに私もアドバイスが欲しくなり、スポーツ用品店にかぶりつきます。「くださいなー!」と私。すると、
「もうおしまいです!ガラガラ!」とシャッターを閉める仕草。
さすが売れるお店、できる営業は客を選ぶようです。門前払いを喰ってしまいました。立ち尽くす私をよそに、みんなが笑います。
「こちらはまだ開いてますよー!」
最後は心優しきお花やさんに癒してもらいました。
「ゆめの森で 学んで 遊ぶ」
ご存知ゆめの森の歌の最後の一節です。まさに、学んで遊んだ45分でした。「学ぶ」の語源は「真似る」。よく聞く話ですが、再確認です。
冒頭の話に戻りますが、耳を傾ければ日常の何気ない「無駄話」にも躍動する日本語があります。また何気ない生活の中にも、目を見開きよく見れば人々のイキイキとした躍動する肉体があります。この世界は躍動に満ちています。市井の人々の何気ない生活の断片にも先人の知恵が凝縮され躍動しているのです。
お買い物の時間も同様です。
その瞬間をとらえ「真似て」「学ぶ」。そして「学んで 遊ぶ」。
掴もうとする意思さえあれば、世界全てが学校なのです。
小さなショッピングモールの先に見えてきた、巨大で豊かな学校。「先生」は学校職員である以前に、この巨大で豊かな学校の生徒です。
小さな店員さんが、改めて私の襟を正してくれました。