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【日々の記録】二つの節を分つもの

皆さん、こんにちは。
明日は2月3日。節分です。
節分といえば、鬼は外。福は内。パラパラパラと豆の音。
数珠つなぎに連想が進んでいくわけですが、はて、どうして鬼?まめ?
立ち止まって考えれば、「・・・。」
せっかくの機会ですから、少し調べてみましょう。

節分は、雑節の一つで、各季節の始まりの日(立春・立夏・立秋・立冬)の前日のこと。節分とは「季ける」ことも意味している。一般的には「鬼は外、福は内」と声を出しながら福豆(煎り大豆)を撒いて、年齢の数だけ(もしくは1つ多く)豆を食べる厄除けを行う。また、玄関などに邪気除けの柊鰯などを飾る。季節の変わり目には邪気(鬼)が生じると信じられていたため、それを追い払うための悪霊ばらい行事が執り行われていた。

ウィキペディアより

なるほど、節分とは各季節の始まりの前日なのですね。旧暦では立春に最も近い新月を元日とし、新年の始まりであることから、一般的に立春の前日に節分の行事が行われるようになったとのこと。・・じゃあ、豆は?

豆は、「穀物には生命力と魔除けの呪力が備わっている」という信仰、または語呂合わせで「魔目(豆・まめ)」を鬼の目に投げつけて鬼を滅する「魔滅」に通じ、鬼に豆をぶつけることにより、邪気を追い払い、一年の無病息災を願うという意味合いがある

ウィキペディアより

農耕民族である日本人にとって、穀物は力の源泉。穀霊信仰が生まれたのも納得です。さて、節分について認識を深めたところで、ゆめの森を散策してみましょう。
本日5時間目。学び舎ゆめの森においても「節分集会」が行われました。
集会には児童生徒に加え、地域の方々にもご参加いただきました。
本日の活動報告の前に、少し過去に戻りましょう。2日前の朝の会のことです。
「皆さーん!2月3日は何の日ですか?」と元気いっぱいデザイナー。
「節ぶーん!」と児童たち。
「じゃあ、節分って何するの?」
「鬼をぶっ潰す!」「オラ!って、鬼やっつける!」「豆ぶん投げる!」
まあ、予想通りと言いましょうか、威勢の良い答えが返ってきます。
「じゃあ、鬼ってなに?」とデザイナーが畳み掛けます。
「赤とか、青とかで、」「ツノが生えてて、」「悪いやつ!」と低学年。
「ただ、鬼やっつけるだけじゃつまらないよ。自分の中の鬼を退治できたらもっといいんじゃない?」
「自分の中の鬼?」訝しそうに児童が繰り返します。
「うん。そう。みんな自分の中にちょっとここを直したいなってところあるでしょう?自分の苦手なこととか、自分の良くないところとか。」
「うーん・・。」
「せっかくだから、自分の良くないところ、苦手なところをやっつけちゃおうよ。自分の中にある鬼を考えて、ここに書いて欲しいんだ。」
そう言って大口開けた鬼のイラストを取り出し児童に渡します。
確かに。私も大きく頷きます。
「節分だ。そら、勢いよく豆まいて、ああ楽しかった。」
それでもいいでしょう。「楽しい」こそ勝ちだと数日前に書きました。しかし、この機会を捉え、内省し、改善の契機にするのもいいアイデアです。
私も考えます。うーん、いつも自分を卑下する悪い癖、どうにかしたいな・・。
児童たちと同じように鬼のイラストに自身の鬼を書き込みます。
「すぐに自分ってダメだなぁと思う鬼」これで私の鬼は完成です。

ゆめの森百鬼夜行絵巻。

さて、迎えた本日の節分集会。
体育館のホワイトボードにずらっと鬼のイラストが整列です。
「すぐ泣く鬼」「めんどくさがり鬼」「ゲーム中毒鬼」「忘れ物が多い鬼」・・。なかなか厄介な鬼が出揃いました。百鬼夜行絵巻さながらです。
「今日一緒に鬼退治するメンバーと結束を高めましょう!」
「おに・・どうせ誰か大人がさぁ・・。」
賢しぶる高学年相手に、どこまでも桃太郎のテンションでデザイナーが向かっていきます。そこが少し滑稽で笑ってしまいます。
地域の方と、児童生徒たちで豆を入れる箱を協力して作ります。折り紙で作る箱、私は恥ずかしながら折り方がわかりません。児童たちも同じようです。
「どうやって作るの?」「すみません。教えてください。」
地域の方に協力を求め、自然と協働関係が出来上がっていきます。中には、オーソドックスなあの箱の折り方ではなく、なかなか複雑な折り方をご存知の方もいて、児童たちが群がります。
「できた!ねえ、みて!」
奇抜なデザインの紙箱を手に一年生は自慢顔です。

みて!箱に絵も描いたんだよ。
ちょっと大人びた司会者。
堂々たる開式の辞

「これから豆まき集会を始めます。」
7年生の開式の挨拶で本番スタート。
「これから代表の方に退治したい鬼を発表してもらいます。前に来てください。」大人びた6年生二人が司会進行です。

私の退治したい鬼は・・ええっとね・・・・・。あ!忘れ物鬼!
思いだせてよかった・・。

「私の退治したい鬼は、ダラダラ鬼です。」
頑張れよ!負けるなよ!それぞれの発表に会場から声援が飛びます。
「それでは、これから豆を配りまーす!」
われ先に児童が豆に群がります。あらあら、周囲を慮らない鬼も加えなきゃだな、こりゃ。思わず苦笑いしてしまいます。
「静かにしてください!」
私の思いがシンクロしたのか澄まし顔の6年生の司会者が苦言を呈し、吹き出してしまいます。
今年年男年女の5年生が、ホワイトボードの鬼絵巻に対峙します。
「鬼は外!福は内!!」
威勢の良い掛け声と共に、落花生がバラバラとぶつかっていきます。あ、そうそう。最近では炒り豆じゃなく落花生を使うんだよな・・。例の世代間の峻険を感じながら、その様子を眺めます。

年男、年女の渾身の一撃。うん。渾身は「美」

やんややんやと騒いでいた刹那、誰かが叫びます。
「鬼だ!鬼が来たぞ!」あまりに唐突な登場に私までびっくりしてしまします。入り口を見れば肩を怒らせた赤鬼緑鬼が登場です。児童生徒たち悲鳴をあげて逃げ惑います。

突然の登場に、総崩れ。中には泣き出す児童も。

「ほら、鬼だ!やっつけろ!」
隙をつかれて総崩れの児童生徒。やっつけろの声に我に返り、討死覚悟の猛突進です。
「鬼は外!福は内!」「鬼は外!福は内!」
繰り返される叫喚。鬼は次第に弱っていきます。特に赤鬼の憔悴は著しく、児童生徒にもみくちゃにされ、金棒まで奪われそうな体たらくです。それでも止まぬ総特攻についにほうほうの体で鬼がついに逃げていきます。

激しい総攻撃に鬼はフラフラ。(特に赤鬼!)

「やったー!やっつけた!」素直に喜ぶ低学年。
「あの鬼の正体、誰?」こちらの事情を詮索する高学年。
反応はそれぞれですが、皆一様に頬を紅潮させ満足顔です。
最後にみんなで掃除して、写真を撮って閉会です。
「ありがとうございました。またいつでも遊びに来てください!」
共に戦った地域の戦友と再会の契りを交わし、節分集会は幕を閉じたのでした。

一応、鬼と休戦協定。鬼の中身は誰かって?

四つの季節をさらに四つに分けた二十四節気。
例を挙げれば啓蟄、穀雨、寒露など。
先人の自然に対する観察眼の鋭さに改めて驚かされます。
季節といえば暑いか、寒いかのみを話頭にあげがちな私たち。
今日も寒くて、昨日も寒くて、一昨日も・・。
忙しない通勤時、ふと車窓に目をやれば白梅が早くもちらほらと。
目を凝らせば、寒さの底で胎動する春の息吹を感じることもできます。
日曜日は立春。まさに節が分かれます。
今回節分を機に私たちは内省し、自身の弱点を分析し、可視化しました。
でも、それで終わりじゃもったいない。退治、つまり弱点から脱却しなければ、「鬼退治」とは言えません。
さらに言えば、豆まいて、恵方巻き食べてだけではもったいない。
季節に対しても、毎日寒い寒いだけではもったいない。
一見地続きに見える「毎日」と「私」。目を凝らし、そこに節(変化・成長)を見出して、過去と分つ。
新しい「季節」と「私」。この二つの始まる日。
これが本来の節分なのでしょう。
二つの節を見出して、二つの節を分つ雅量を養いたいものです。