【取材#01】遊びに熱中する瞬間を、見逃したくない
認定こども園と義務教育学校が一体となり、0〜15歳のシームレスな学びを目指す「学び舎 ゆめの森」。認定こども園ではたらく佐久間デザイナー、新妻デザイナーに、日々の保育で感じていることを聞きました。
※「学び舎 ゆめの森」では教師・保育教諭を「先生」ではなく「デザイナー」と呼んでいます。
少人数だからできる多様性あふれる保育
―デザイナーとして大切にしていることは何ですか?
佐久間デザイナー:子どもが遊びに集中できる環境をつくることを意識しています。「探究」モードになる瞬間を見逃さないで、熱中し続けられるようにサポートしたい、と思っています。子どもを遊びに熱中させたい、ドキドキわくわくのある保育をしたい、と。
「今日の保育はこれをやろう」と私なりに計画していても、私がやりたいことと、子どもが興味を持つことって必ずしも一致しないんですよね。だから計画にこだわらず、子どもの興味や探究したいことにできるだけ合わせています。
私は4歳児の担任ですが、船や車が大好きな男の子がいて。暑い季節と言うこともあり「船を作ってみようか」と声をかけたところ、毎日夢中で作り続けて……。
そうすると、1隻目、2隻目、3隻目、作るたびに新しい工夫が増えていくんですよ。誰も教えていないのに、本当に子どもってすごいな、って。
他にも、いま虫に夢中な子がいて、「今日もダンゴムシ探しに行こう!」と4日連続で言うので、4日連続で一緒にダンゴムシを探しました。連続で探しに行くと、昨日居たところにダンゴムシがいない、って気づいたり。その子に「なぜ?」が生まれます。あと、天気がカラカラの日はダンゴムシが居ない、それも「なぜだろう?」って。大きいダンゴムシはどこにいるのかとか、ダンゴムシの飼い方や不思議を子どもと一緒に図鑑で調べたりしています。
これまでの保育では、図鑑で調べるまではいかなかったんですよね。子どもたちに影響を受けて、私の探究心も伸びているみたいです。
新妻デザイナー:私は2歳児を担当していますが、子どもたちの興味の対象を広げる手助けをしたい、と思っています。先日も、遊びを思いついて提案したんです。「たんぽぽ」、「アリ」など昆虫や植物を9つ挙げてスタンプラリーにして、教室の外で探す探検がしたい!って、ひらめいて。(笑)
「いいじゃん、やってきなよ」と、渡辺マネージャーや他のデザイナーから後押ししてもらって実現。子どもたちが夢中で探検している様子が嬉しくて!
ゆめの森では、子どもはもちろん、デザイナーである私のことも、一人の人間として見てくれて、個々の考えや意見に向き合ってもらえる、そんな風に感じています。
「学び舎 ゆめの森」だからできること
―「学び舎 ゆめの森」ならではの魅力をおしえてください。
佐久間デザイナー:0〜6歳のこども園の子が、ごく自然に小学生と鬼ごっこできる環境ですね。学年が違うと話しづらい、という雰囲気がまったくなくて、気付いたらお姉さんお兄さんとすーっと交わり、一緒に遊んでいます。
こども園の中でいうと、各年齢に担任を置く担任制ではあるんですが、クラスの垣根がなく全員の成長が見渡せます。年長児が1歳児に合わせて遊んだり、身振り手振りだった子に言葉が増えたり、日々驚きと喜びの連続です。
新妻デザイナー:認定こども園と義務教育課程の関わりは、ゆめの森ならではですよね。子どもたちがお兄さんお姉さんを真似したり、お兄さんお姉さんが給食を食べる様子を見て影響を受け、今まで食べなかった食材を食べはじめた子もいます。
佐久間デザイナー:デザイナー同士も、こども園のデザイナーと義務教育過程のデザイナーがしょっちゅう顔を合わせたり、研修を一緒に受けたり。こども園だけ、義務教育過程だけ、ではなく0歳から15歳まで先を見越して、広い視野で保育できるのが面白いです。
「やってみたい」を後押ししてくれる場所
―デザイナーとして取り組みたいことはありますか
佐久間デザイナー:全身を使ってドロドロになって遊んだり、ボディーペインティングしたり。私が子どもの頃にやりたくてもなかなかできなかった遊びを、取り入れたいです。
「遊びって楽しいな」と感じてほしい、今だけしかできないことに、とことん熱中してほしい、って思います。たとえば砂場を使って水路をつくる遊びをするなら、次の日も、その次の日も「やりたい」と言ったら続きをする。そうして1週間くらいかけて熱中できる環境があると、砂場の外に水路を広げたり、水路の深さを変えたり。工夫する力、深く考えられる力がつくのではと思うんです。
新妻デザイナー:ゆめの森は「やってみたい」を実践できるなって。通常は、子どもの人数が多かったり、「これはできないよね」と決めつけざるを得なかったりする場面があると思うんです。でもゆめの森なら、工夫次第でできちゃいます。
私自身も幼稚園児の頃、「決められたことを毎日する」のが嫌だったんです。なんで毎日繰り返してるんだろう、って。だからこそ、ゆめの森の子どもたちは自由に、やりたい遊びにとことん集中してもらいたいです。
子どもと自由に関わりたい……そんな夢が叶う場所
―デザイナーを志望した理由を教えてください
佐久間デザイナー:もともとは、大熊町の保育所で保育士をしていました。その後は大熊町役場の教育総務課で事務職を経験。いま3歳、5歳、7歳の子どもがいて、産休や育休が多かったんです。ゆめの森から「デザイナーとして保育教諭に戻らないか」と声をかけていただいた時、12年ぶりの復帰になるので、正直迷いました。でも、大好きな子どもと関わりたい、という想いが勝ち、デザイナーになりました。
新妻デザイナー:大熊町は母の地元で、思い入れのある町でした。保育教諭を目指して短大に行き、就職先を考えているときに、説明に来てくださったのが渡辺マネージャーです。「生涯幼稚園児」という理念や、「時間割がない」などのお話を聞き、パンフレットを見ているだけでワクワクしました。実際に働いてみて、イメージしていた通りで、ギャップを感じることはなかったです。
個性あふれる子どもたちと、元気に楽しく遊びませんか?
―これからデザイナーを目指したい人へ、メッセージをお願いします。
佐久間デザイナー:2023年4月から仮の校舎で始まったこども園ですが、子どもたちもデザイナーたちも、日々活発に活動していて、園内外に子どもたちの元気な声と笑い声が響きわたっています。「遊び」を大切にしながら、子どもたちのためにやってみたいことを実現しやすい環境です。私たちと一緒に保育のデザイナーになりませんか?
新妻デザイナー:2023年9月から新校舎での保育になります。いよいよ始まる0〜15歳が共に学ぶ学校のスタートに、私自身もわくわくしています。子どもたちと一緒に、毎日元気に遊びましょう!
子どもたちの遊びを通して、自身も遊んでいるかのような佐久間デザイナーと新妻デザイナーのお話。今後、さらにたくさんのドキドキ、ワクワクが生まれるんだろうなと感じました。
「学び舎 ゆめの森」では、子どもたちの遊びと学びをデザインする「デザイナー」を募っています。保育の「やってみたい!」を、デザイナーの仕事で叶えてみませんか?