【行事】くれないに 目移り楽し いちご狩り
皆さん、こんにちは。
先日の雪もすっかり溶け、本日はからりとした青空が広がっています。
今日は3学期始業式。
開式の前から本の広場では持ち寄った思い出話で割れんばかりの喧騒です。
「ばあちゃんちいった!」「お年玉でSwitch買ったぜ!」「おみくじで大吉出た!」
どの顔も充実した冬休みを送れたようで、これまた割れんばかりの笑顔が連なります。ゆめの森児童生徒全員元気に出席です。まずは一安心。
「これから3学期始業式を始めます。」マネージャーの開式の言葉に、本の広場は先程の喧騒とは打って変わって厳粛な空気に包まれます。4月から少しずつ少しずつ行動にメリハリが付くようになったゆめの森。ピンと伸びた背筋を後ろから眺め、思わずニヤリとしてしまいます。
「皆さん、明けましておめでとうございます。」と南郷GM。
「明けましておめでとうございまーす。」と児童たち。きちんとした挨拶の後には口々に「あけおめ!」「ことよろ!」「お年玉!」
厳粛な空気の中でも再会の興奮が抑えきれぬようです。
「最初に皆さんにお話ししたいことがあります。」改まって切り出した南郷GMの言葉に「えっ?なに?」。一同目をまんまるくして注目します。
「1月1日に能登半島大地震がありましたね・・。まだ始業式ができない学校もたくさんあります。」
それぞれが一日のあの瞬間を思い出し、何か言いたげではありながら、それでも口をまっすぐに結んでいます。
「今、こうして私たちが始業式ができていることは、とっても嬉しいことなんです。まだこの瞬間も、お腹をすかし、寒さに耐え、大切な人を亡くした悲しみに暮れる人たちがいます。」
張り詰めるような静寂の中、南郷GMの言葉が続きます。
「13年前、福島も同じでした。たくさんの人に助けられ、支えられ、今があります。」「私たち一人一人、今何ができるのだろう・・。もしかしたら、今みんなにできることは少ないのかもしれません。でも・・。」
児童生徒真摯な眼差しで次の言葉を待っています。
「でも、何か大変な時、誰かの支えになることはできます。」
多少難しい内容も、児童生徒それぞれの段階に応じて理解しようと考えている様子が後ろ姿からも伝わってきます。
「じゃあ、どうやって誰かの支えになれるんだろう?」
「自分の好きなこと、一生かけて打ち込めるものの先に誰かの支えになる何かがあります。例えば・・。」
例を挙げて説明する南郷GMの言葉に頷く子どもの姿もあります。
「そこにつながるみんなの好きを、見つける一年にしよう!」
そうか。誰かを支えるということは、我慢して歯を食いしばって努力することではなく、自分の「好き」「夢中」の先にあることなんだな・・。
締めくくりの言葉に子どもたちだけではなく、デザイナーたちの背筋も気持ち伸びたようです。
さて、厳粛な始業式の後は、お楽しみ「いちご狩り」です。
昨年6月に引き続き、今年も新年から大熊にあるいちご工場「ネクサスファーム」さんにお邪魔しました。ご存知の方も多いと思いますが、「ネクサスファームおおくま」さんは、最新の「環境制御システム」を導入し、栽培環境、作業環境、経営環境のバランスを考えた効率的ないちご栽培を実施している会社さんです。
「去年は、30個食ったから、今年は50個ぐらい食えるかな〜。」
到着する前から児童生徒たちは武者震いです。
「皆さんようこそ。今日は美味しいイチゴたくさん食べてくださいね。」
前回同様、ネクサスファーム工場長徳田さんが、にこやかに出迎えてくれます。
「いちごを摘んだ後は、クイズも用意していますから、みんなよく観察しながら食べてくださいね。」
「はーい!」と元気に児童たち。話を聞きながらも目はハウスに広がるいちご苗に釘付けです。写真を撮って、いざスタート。
思い思い散り散りにいちご畑に消えていきます。
「んーー。甘い。うまい!」
早速ゆめの森の食べタレが、第一号の食レポをカメラに囲まれて行っています。
彼のコメントを片耳に、鼻息荒くそれぞれがいちご畑の奥へと突進していきます。
「見て!こんなに大きいの!」
大粒イチゴの収穫に頬を緩める児童もいれば、
「大粒より、少し小ぶりの方が味がギュッと濃縮されてうまいねん。」と鋭いコメントを残す児童もいます。
今日収穫したイチゴは、「紅ほっぺ」と新品種「ほしうらら」の2種類です。どちらも甲乙つけ難い美味ですが、子供達は一人前に「こっちの方が酸味があるから甘味が引き立つ。」だとか「あちらの方が甘味が濃厚だ。」とか、批評を取り交わしています。まさに皆さん夢中のご様子です。
イチゴは世界に300種類以上あるそうですが、今いちごを大口で味わいながらも、まだ味わったことのないイチゴに思いを馳せます。また、大口に一つのいちごを味わいながらも、目はもうすでに違ういちごを探しています。いやあ、忙しい忙しい。楽しく、嬉しい忙しさです。
盛んに下馬評かわす児童たちも目は、あちこちを彷徨い、大粒イチゴ探しに余念がありません。
気がつけば、下級生たちは口の周りを真っ赤に染めて、それでもも一個、もう一個と欲張ります。・・そりゃそうです。ちょっと手を伸ばせば食べ頃いちごがここかしこと実っているんですもの。回転寿司よろしく、なかなか終わりの踏ん切りがつきません。
それでも30分もたったでしょうか。
「もう食べられない!」「お腹いっぱい!」「お昼いらない!」
「もうこの辺までいちごが詰まってるよー!」と喉元を指し示す児童もいます。
それそれ思い思いめいいっぱいいちごを堪能したようです。
最後のクイズで知りましたが、いちごの花言葉は「幸せな家庭」。
生徒から質問が出ます。「どうして幸せな家庭なんですか?」
「どうもね、私もはっきりとした答えを知らないんですよ。みんなも調べてみて。」と徳田さん。
一株の苗から何本も枝分かれして身を付けるいちごの姿が由来なのかな。私は勝手に推察しましたが、帰りのバスの中でもうひと案。
なるほど、大人も子供も満足顔。いちごの収穫譚で大賑わい。まさにイチゴのもたらした幸せに満ちています。
こりゃ、「幸せな家庭」だわ。一人納得の私なのでした。
始業式早々、みんな揃って「夢中になって」「幸せな」1日になりました。
ネクサスファームさん、ありがとうございました!