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【日々の記録】私たちの画竜点睛

皆さん、こんにちは。
3月が始まりました。

いにしえの昔、中国で。
ある絵の名人が寺の壁に見事な竜を描いた。
仕上げに睛(ひとみ)を描き込んだところ、たちまち暗雲立ち込め雷鳴が轟き、竜が絵より立ち出でて雲にのって昇天した・・。

歴代名画記に記された故事です。
この故事から生まれた成句が「画竜点睛」(がりょうてんせい)です。
「文章や話などで肝心なところに手を入れて、全体をいっそう引き立てるたとえ」と辞書には説明されています。

お正月、ここnoteに書きましたが、いよいよ今年度の総仕上げです。
「画竜点睛」。天駆ける昇竜となれるのか。
大切な3月がスタートしました。
4時間目、ゆめの森ネイチャーラボの振り返り活動が行われました。
さて本日は、その様子を紹介いたします。

花班は創作工房に集合です。
まずは昨日の「手作りお店やさん」(レジン細工販売)を振り返ります。
「リヤカーが重くて、筋肉痛だよー!」
「あたふたして、あんまりおしゃべりできなかったー。」
不平を口にしながらも、表情は晴れ晴れしています。
それぞれ振り返りシートに反省などを書き綴ります。

かう人がつかってくれるものをつくりました。
うるとかんがえるとたいへんでした。

児童の振り返りシートより(原文ママ)

思ったよりも、カプセルゴムをふくろに入れるのがめっちゃむずかしかった。
だけど、みんなが作ったものをつつんでると、なんかワクワクしてきた!

児童の振り返りシートより(原文ママ)

自分が作りたいものを作るのではなく、買い手の欲しくなるものを作ることに心を砕いた様子が伝わってきます。創作の過程で「自分のため」以上にお客様を想像することが、彼らの大きなモチベーションになったようです。
販売はどうだったのでしょう。

「おきゃくさんにあうものをえらんだり おきゃくさんのえがおをみれてうれしかった。」
「おきゃくさんが、よろこんでくれ、うれしかったです。」

児童の振り返りシートより(原文ママ)

実際に自身の目でお客様の反応を確認できたことは、児童たちの大きな達成感、満足感につながったようです。
ただし、こんな意見も。

きん張して、全然話かけられなかった。反省点が多すぎる・・。
もっと話かけられたらよかったのに・・。
また、いつかこういう機会があったら心の反省をいかしたい。

児童の振り返りシートより(原文ママ)

成功体験と同等に失敗体験にも価値があります。後悔、反省は成長の種です。
こういう書き込みに出会うと嬉しくなります。

またの機会。うん、絶対またやろうね!

動物班はどうでしょう。
先日全員で鶏を送り出したばかり。どんな振り返りが行われているのでしょう。

むすかしかったこと。ぶろいらひよこがわちわちしてて つかれた。
いなくなってさびしい たべないともったいない。

児童の振り返りシートより(原文ママ)

先日ここに書きましたが、一年生の心にも確かな「ナラティブ」が紡がれていたようです。「たべないともったいない」の記述に、徒らな感傷を超えた彼なりの境地が窺えます。

ピヨちゃんがかわいかったけれど ニワトリになると(ウンチのイラスト)が多くなったし、理科室がくさくて人気がナクナッタヨーナ

児童の振り返りシートより

鶏の飼育は私がイメージしたようなドラマティックな「教育的美談」(ストーリー)とはなりませんでした。だからこそ、上記のような児童の正直な告白を清々しく好意的に受け止めます。
大人ウケを狙った賢しい回答でまとまるよりも
「可愛いけど臭い。」「見るのは可愛いけど、世話は面倒だから嫌だ。」
そんな忌憚ない意見をぶつけ合える環境からのみ、真理に到達できるのではないでしょうか。職員室も見習わなければなりません。(キリッ)
他には「こい(鯉)をそだててみたい」「どうぶつをふやしたい」「ネコを育てたい」など、無邪気に新しい動物の登場を願う意見も多いです。
純粋に素敵なことだと思いますが、「鶏、うずら、亀などの反省をきちんと踏まえた上で」でなければ、安易に賛成はできません。「命を預かる責任の重さ」を今後もみんなで深めていきたいと思います。

花班の活動が、動物班にも刺激を与えた模様。

野菜班はどうでしょうか?
社会科室に集合し、ipadに振り返りを書き込んでいます。
モニターには過去の活動の様子が映され、さまざまな記憶を手繰りながら反省をまとめています。
「やっぱ土やな・・。」
「土づくりには3年以上はかかるって言ってたもんな・・。」
「もうその頃、この学校にいないしー!」
「いや、OBとして来ればいいやん!」
野菜班の成果を単に「野菜の収穫」と捉えるなら、今年の取り組みは失敗でした。
種を蒔いたほうれん草はほとんど発芽せず、サニーレタスも大きく育つことはありませんでした。
上級生を中心に、今回の失敗の原因を考察した結果、彼らは「土が肥えていない」との仮説を導きました。そこで先日我らが「松永のオヤジ」の畑見学に伺い、土づくりのコツについて教えを乞うてきました。
ここには書き尽くせぬほどの多くの知見を得ましたが、いずれにせよ一朝一夕にできることではなさそうです。
彼らがさぞや落胆するかと思いきや、そうでもありません。
自分たちがたんまりと野菜を収穫することが成功なのではなく、未来へと続く豊な菜園づくりに自分たちが着手し、次世代へと受け継いでいくことこそ成功なんだ・・。
少しずつではありますが、マインドチェンジが進んでいるようです。
その様子を注視していきたいと思います。

6•7年の話はわかんないけど、私なりの発見を書き込んでいく。
ピンクの紙は「発見」でびっしり!

「画竜点睛」
壁画に瞳を書き込んだ途端、たちどころに竜が立ち現れ、天に昇って行く・・。
魅力的な故事成句ですが、現実的ではありません。
私たちの「画竜点睛」とは、すぐに成果をもたらす派手な「魔法」ではなく、もっと地味で地道で誠実なものであるはずです。
私たちが最後に描き込む「睛」(瞳)とは、性急に効果出る類のものではなく、はるか未来を展望し、着実に今を積み上げる辛抱強さを必要とするもののようです。

過去。現在。未来・・・。
三つの色を塗り分けるのではなく、緩やかなグラデーションをしなやかな筆で描き出す。私たちの「画竜点睛」が始まります。