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【日々の記録】連綿と受け継がれる心

皆さん、こんにちは。
もういくつ寝るとお正月。お正月の前にはクリスマス。クリスマスの前には、いよいよ冬休みの始まりです。日常の様子の端々からも、彼らの胸の高まりが聞こえてくるようです。冬休みまでのカウントダウン。今日一日のゆめの森の活動を皆様と一緒に振り返ってみましょう。

「初めまして」じゃないよ。「お久しぶり!」

本日はここ学び舎ゆめの森にスペシャルゲストがいらっしゃいました。え?どなた?少々お待ちください。スペシャルゲストの発表の前に、少し過去を振り返ってみたいと思います。

「さよならじゃない!行ってきます!私、いつでもお帰りなさいって言うから!」
今年2月、会津にて上演された演劇「私が始まる場所」のセリフです。雪に包まれた世界で生きる二人の少女の新たなる旅立ちを描いた作品です。
雪は天より贈られし手紙。降り積むった手紙(積雪)が、やがて解け、水となり、大地を豊かに潤していく・・。無数の手紙に込められた無二の心を吸い込んで、少女たちは旅立ってゆく・・・。
このお芝居には、お世話になった会津へのたくさんの「ありがとう」が込められていました。目を閉じれば、空へと霞んでいく会津の雪景色と主役を演じた9年生の可憐な姿がありありと蘇ってきます。
そう、震災直後、大熊町の学校は会津に避難し、いち早く学校を再開させました。そこには本当に多くの方々のご尽力がありました。中でも、学校を受け入れてくださった会津河東の皆様にはここでは表現をし尽くせない程のお世話になりました。今年私たちは12年ぶりに大熊町に戻ってきましたが、ゆめの森の根っこから吸い上げた会津の雪解け水は、確実に今も幹の中でどうどうと音をあげ、私たちを潤し続けています。大熊と会津。私たちには二つの故郷があると言っても過言ではないのです。

12年にわたり、ゆめの森を支え、盛り上げ、育んでくださった会津河東の皆様。その方々こそ「大熊フレンズ」の皆様です。
本日会津より「大熊フレンズ」の皆様がきてくださいました。10月上旬、宿泊学習の際もお世話になりましたが、こんなに沢山の大熊フレンズの皆様と再会できるのは3月以来です。児童生徒はもちろんのこと、私自身少し興奮気味です。

「河東の校舎と全然違うね。びっくりだよ!」フレンズさんと旧交を温める。

「久しぶり!元気だったかい?」
「お久しぶりです。元気そうね〜。」
3時間目。本の広場に一同集います。児童生徒とフレンズさん、フレンズさんとデザイナー、旧交を叙す風景があちらこちらにみられます。
「このあいだの雨でだいぶ解けたけど、会津はもう雪だよー。」
何気ない会話から、会津の景色が目に浮かんでくるようで、懐かしい気持ちになります。
今年からゆめの森に加わった新しい児童は、いまいちピンときていないようです。無理もないことですが、
「こんなことがあった、こんなことしたと」ゆめの森の古株児童は手つきを交え得意げにレクチャーしています。そんな光景にも、心が温かくなります。共有した時間がたくさんあるからこそ、お顔を拝見するだけで彼らの小さな頭の中にも豊な幻燈がめぐっているようです。

ここが僕らの秘密基地!
探検に行ってきまーす!

簡単な自己紹介ゲームの後は、「ゆめの森ツアー」です。児童生徒がコンダクターとなりスペシャルゲストを案内します。校舎を見ていただくだけではなく、そこでどんな活動をしているのか紹介していきます。
「ここは僕のお気に入りです。このイスに座ってみてください。」
「やれ。こんなイスに座ってたら、勉強どころか気持ちよくって眠っちゃうよ。」
「あ、僕もです!」
フレンズの皆さん、児童生徒、みんな大笑いです。私も笑いながら、思います。
過去だけじゃない。こうしてまた大熊フレンズの皆さんと新しい思い出を作っていくのだな・・・。今までだけじゃない。これからもなんだな・・。

ここが僕のお気に入り!
「眠くなってしまいそうだよ。こりゃ。」

ツアーの後は、大熊フレンズの皆さんにインタビューです。ゆめの森のお調子者二人が嘘っこマイクを片手に会場を駆け回ります。
「今日の感想お願いします。どうでしたか?」
突然指名された方は苦笑しながらも
「こんな立派な学校だったら、また子どもに戻って通いたいよ。」
すると「いつでもどうぞ!」と誰かが混ぜ返します。
今度は、後ろの方がすくっと手を挙げます。
「はいっ!おねがいします。」と児童。
「こんなにも素晴らしい校舎なんだもの、みんなも勉強頑張って人間として大きく育ってください。」
強く温かいメッセージに、みんなの背筋が心持ち伸びたようです。
最後に大熊フレンズの代表の古川さんからメッセージをいただきます。
「皆さん、この学校に負けないような大きな夢を持ってください。」
古川さんのご挨拶を聞きながら、私の脳裏にも幻燈が灯ります。スポーツフェス、花壇の花植え、そして、演劇発表・・。大熊フレンズさんが児童生徒の発表に涙を流して喜んでくれたな・・。そんな光景が浮かんでは消えていきます。歳のせいでしょうか。ふと涙腺が緩み、鼻の奥がむず痒くなってしまい、慌てて鼻を啜ったのでした。

ゆめの森のタレントが会場を回る。
「も一度こどもに戻りたいよ。」

話を戻します。
「さよならじゃない。行ってきます。いつでもお帰りって言うから。」
ゆめの森は会津を離れましたが、お別れした訳ではありません。ここ大熊で「新しい私・新しい物語」が始まりましたが、会津は私たちのもう一つの故郷。いつでも帰れる場所なんです。きっと「大熊フレンズ」さんは、いつだって優しく温かく「お帰りなさい」と言ってくれるはずです。
本当に本当に多くの方に助けられ支えられ励まされ、学び舎ゆめの森は太く大きく育っていきます。過去、現在、そして未来。連綿と受け継がれていく「心」。
忙しなく暮れていく師走、ふとこの「心」に思いを馳せるとき、いつもより優しくなれる気がします。
大熊フレンズさん、本当に今日までありがとうございました。
そして、これからも末長くよろしくお願いいたします。

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