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【行事】令和5年度離任式

皆さん、こんにちは。
昨日の雨と打って変わり、本日は素晴らしい晴天に恵まれました。
からりとした青い空の下、身体を伸ばし、大きく息を吸い込みます。
肺から取り込まれた酸素が、身体の隅々まで運ばれ、細胞一つ一つが活性化することがイメージできるような気持ちよさです。
「代謝」。6年理科で習ったことを思い出します。

さて、澄み渡る空の下、本日9時より学び舎ゆめの森では離任式が行われました。
春休み中ではありますが、児童生徒、そして卒業生まで元気に登校です。

式が始まるまでのひと時。
どの先生がいなくなっちゃうんだろう・・。不安・・。

「これより学び舎ゆめの森離任式を挙行いたします。」
マネジャーの開式の言葉に、自ずとスイッチがONになり、ほんの広場を静謐な空気が包みます。
今年度ゆめの森を離れるのは7名の方々です。
南郷GMに先導され、デザイナーの入場です。会場から大きな拍手が起こります。
どの方もゆめの森の設立から尽力し、それぞれの得意分野を活かし新たなる道を切り拓いた、まさに「パイオニア(開拓者)」の面々です。
拍手する手に、思わず力が入ります。

南郷GMのそれぞれの紹介を聞きながら、私の諸々の記憶の断片が空間に漂い出します。それら一つ一つを捕まえて、丁寧に曇りを拭ってためつすがめつ見てみると、その先に無数の笑顔が見えてきます。
しゃべって、わらって・・・。
当たり前の日常が、デザイナーひとりひとりの力で形作られていたのだと、改めて強く感じ、奥歯に力が入ります。
共に重ね、醸された時間の旨みを思い、こくこくと奥歯が動くようです。

理科にまつわる深いい話。

紹介の後は、離任するデザイナーの挨拶です。
一人のデザイナーが児童生徒に語りかけます。
「みんなノミって知ってるよね。
実はノミってすごいんだよ。ノミってピョーンってジャンプするでしょ。もしノミが人の大きさだったら、東京タワー飛び越えちゃうくらい高く飛ぶんだよ。」
児童たちから一斉に驚きの声が漏れます。
「でもね、ノミを小さい瓶に入れるでしょ。ジャンプすると蓋にぶつかっちゃうくらい小さな瓶。その中でしばらくノミを飼った後、そのノミを外に出すとね・・。」
その話を聞いたことのある私ですら思わず固唾を飲んで結末を待ちます。
「もうそのノミは高くジャンプすることができない。
小さな瓶の中で高くジャンプすることを忘れちゃう。
・・・人も同じ。みんなは東京タワーを飛び越えるくらいの力を持ってるの。でも、いつの間にか自分で自分を瓶に入れ、蓋をしてしまうのね。そんで、それが自分の力だと信じちゃう。
・・・もったいないって!東京タワー飛び越えてごらん!できるから!
・・・飛び越えたら、そん時また私を呼んでください。楽しみに待ってるよ。」

理科のデザイナーらしい喩え話に、再び頭の幻燈が灯ります。
高々と跳躍し、天を突く子どもたち。そして負けじと飛び上がる私。
盛り上がる筋肉。躍動する肉体。耳元で風を切る音・・。
「自分の敵は自分」。本田圭佑の名言が重なってきます。

ここに全てを紹介しきれませんが、各デザイナーひとりひとり本当に実感のこもった素敵なお話でした。
離任される皆様、今まで本当にお疲れ様でした。
本当にありがとうございました。
次の職場でのご活躍を心より祈念申し上げます。

「さよなら」じゃない。「行ってらっしゃい。」
いつでも、私、「おかえりなさい。」って言うから。
昨年2月の演劇のセリフをここにまた引用します。

別れに涙する姿も・・。
大丈夫!「さよなら」じゃない!
涙をたたえ「最後は笑顔でバイバイしよっ!」
だから、「さよなら」じゃないんだって!

理科のデザイナーから着想を得て、もう少し。
冒頭の「代謝」の話に戻ります。
「いきもの」が必ず持っている特徴が三つあります。
①外から栄養を取り入れ、不要なものを外に出し成長すること。
②子孫を作ること。
③進化して新種を生み出すこと。
ゆめの森は学校という組織であり、「生物」ではありません。
しかし、この三つの要件に照らすと、「いきもの」だとも言えそうです。
誤解を避けるために明記しますが、「離任」を「不要なものを外に出す」と喩えている訳ではありません。そのような意図は全くありません。
ただ、ゆめの森が凝り固まった「化石」ではなく、「いきもの」であり続けるために代謝が欠かせないということが言いたいのです。
短期的に見れば、優れた人材の離任は、明らかに学校の力を削ぎます。
また、慣れ親しんだ人が離れることに感傷もあるでしょう。
ですが、私たちが柔軟に思考し、成長し続ける「いきもの」であるためには、代謝が不可欠なのです。

同じ「私」も、血液は4ヶ月で、脳は1年で全ての細胞が入れ替わると言います。
それでも私が私でいられるのは、ご存知の通り遺伝子があるからです。
ゆめの森での新陳代謝は、残る私たちに再び強く「ゆめの森遺伝子」を意識させることになるでしょう。
「ゆめの森遺伝子」「ゆめの森らしさ」とは何か?
残る私たちには、それを問い、思考し、自らの言葉で語る責務があります。
今までの当たり前にあぐらをかく猶予はありません。

離任されるデザイナーと共創したゆめの森の遺伝子。
それを受け継ぎ、次世代に受け渡す。
そのために改めて「ゆめの森らしさ」を問い直し、語り合う・・・。
それは「寂しさ」に自身を留め置くことを許さない、力強い私たちの任務です。


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