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【行事】学び舎ゆめの森卒業式

皆さん、こんにちは。
本日、学び舎ゆめの森より二人の卒業生が巣立ちました。
記念すべき「学び舎ゆめの森第1期生」です。
今日のnoteでは、ゆめの森GM南郷市兵の式辞と、二人の卒業生による答辞を全文掲載させていただきます。

南郷GMが二人に語りかける。

 令和5年度卒業証書授与式 式辞
~ 自由に生きよ ~

 あたたかな春の訪れを感じるこの佳き日に、大熊町長吉田淳様、町議会議長仲野剛様をはじめとしたご来賓の皆様、保護者の皆様に見まもられ、ここ大熊の大地において、実に13年ぶりとなる、卒業証書授与式を挙行出来ることは誠に喜ばしく、全ての皆様に厚く御礼申し上げます。ここまでお子様に愛情を注ぎ大切に育ててこられたご家族の皆様にも、心からお祝いを申し上げます。

 先ほど、記念すべき学び舎 ゆめの森第一期生としての卒業証書を手にされた二人、ご卒業おめでとうございます。大熊中学校に入学し、義務教育学校の開校、町への帰還、新校舎の落成。激動の時を、常に最高学年として牽引してきた二人の後に、学び舎 ゆめの森の道は築かれてきました。いつもあたたかく仲間達を導いてくれたことに、心からの感謝を申し上げます。

 旅立つ二人に私が伝えたいことはただひとつ。自由に生きよ、これにつきます。二人には、自分が生きたい人生を生きて欲しい。自分が生きたい社会を生きて欲しい。それが願いです。

 ゆめの森の全ての日々は、そのためにありました。町を元気づけようと試行錯誤し挑戦した商品開発、カフェの出店。時間割も修学旅行の行き先も自ら決める学びのマネジメント。多様な他者とのごちゃまぜの関係性の中から、新しい作品を生み出す演劇公演。二人は、ゆめの森での生活を通して、解のない課題に直面した時も自らを律し、他者と協働し、新たなものを創造する力を得てきました。これは、教科書を覚えるだけでは身につかない、二人が自ら動き掴みとってきた力です。それは、自分自身の未来や生きていく社会を、少しずつ変えていこうとする、自らの自由を手に入れようとする歩みそのものでした。

 時に人は誤解をします。自由とは義務や責任から逃れて、何ものにも縛られずやりたい放題することなのだと。しかし歴史は語っています。CO2を排出し続けても、気に入らない他国の領土を侵略しても、将来かならずそのつけは払わなければならない。そこに幸せな未来はありません。逃げることでは本当の自由は手に入らないのです。

 真の自由とは、こうありたい、こうしたいという願いを叶えられる「力」の中にこそ実現するものです。あなたの「若き力と理想(のぞみ)こそ 未来を築く」鍵です。これから先の高校生活や人生において、きっと壁や誰かとぶつかることがあるでしょう。しかし、あなたは我が学び舎で、いつもそうした壁を乗り越えてきました。悩んだ時は、ゆめの森の仲間の顔を思い出してください。私たちは声を大にして笑顔でいいます。「二人は大丈夫。これまでもいつも壁を乗り越えてきたから」。

 自信を持って、どんな人生を生きたいか。どんな社会に生きたいか。願いを育み続けてください。その願いをかなえる力を育み続けてください。私たちはいつも応援しています。

 結びに、今日ここから巣立つお二人の人生が、ゆめあふれた自由な未来であることを願い、式辞といたします。

   令和6年3月13日   大熊町立学び舎 ゆめの森 校長 南郷市兵

メッセージは確実に二人の心に届いたよう。

続いて、卒業生の答辞です。

交代で答辞を読み上げていく二人。

答辞

 温かな心地よい風が頬に感じられる季節となりました。今日の佳き日、私達二人は自らの手で夢をつかむため、この学び舎ゆめの森を卒業します。私たちのために、このような素晴らしい卒業式を挙げていただき、本当にありがとうございました。校長先生をはじめ、先生方、在校生の皆さんにお礼を申し上げます。
 
 三年前、真新しい制服を着て、中学校生活が始まりました。初めて会う先生達と勉強ができる喜びと、勉強についていけるかどうか心配な気持ちとで胸がいっぱいでした。
 中学生としての生活にも慣れてきた七年生の夏。未来デザインウィークでは、被爆ピアノの演奏や、お笑い芸人さんとのお笑いの体験を通し、みんなで楽しい時間を過ごすことができました。当時は新型コロナウィルスの影響もあって全校生で活動をすることは少なかった記憶があります。しかし、この日は在校生や先生方の新しい一面を発見できたうれしい日となりました。
 そして、八年生の夏。ゆめの森の全校生と先生方、保護者の皆さんと一緒に北海道旅行へ行ったことを今でも覚えています。
 北海道旅行のメインであったロケット作成。植松さんの大事な言葉である「思うは招く」を聞いて、人の信じていることを否定してはいけないのだと改めて考えることができました。植松さんのお話はとても興味深く、あっという間でした。その後のロケット作成に入るときは、ちゃんと完成できるのか不安でした。そんな時、近くにいた友人が「〇〇ちゃんなら大丈夫!一緒に作って空まで飛ばそう!」と明るく目を輝かせて言ってくれたことを今でも覚えています。
 協力しあって完成できたロケットを空に飛ばすとき、私は思わず空に向かって手を伸ばしました。北海道旅行では、私は頑張ることの大切さを発見できました。これは、みんなが私にかけてくれた応援のメッセージのおかげです。
 応援してくれたのは、先生方も同様です。先生方の支えのおかげで、学習に対する意欲がより一層強く持てるようになり、学習に全力で取り組めるようになりました。感謝の気持ちでいっぱいです。私が悩んでいた時、たくさんのアドバイスをくださり本当にありがとうございました。私達を温かく見守ってくださった先生方の笑顔とご指導は、私達の力になりました。先生方がいてくれたから、こうして今までやり遂げることができたのだと思います。先生方の教えて下さったことを全て活かして、これからも頑張ります。 

 今年度、学び舎ゆめの森は故郷である大熊町に戻り、新しい学校生活が始まりました。新しい校舎、新入生、新しい先生方。たくさんの「新しい」に出会いました。初めは、最高学年としてみんなのお手本になれるかがとても不安でした。しかし、日々を過ごしていく内に前期生のみんなが名前を呼んでくれるようになり、私は心から嬉しく思うと同時に、自分に自信が持てるようになりました。
 それは、みんなで頑張った演劇も同じです。演劇練習の時、自分の演じ方に自信がなく、もう諦めたいと思ったことがありました。しかし、みんなや先生方に「すごい」、「格好良い」とたくさん褒めてもらったことで、その言葉ひとつひとつが心に刻まれ、温かい気持ちになりました。「みんながいるから大丈夫」、私はそう思いながら練習に励みました。九年生以外で行っていた練習時間、みんなの大きな声でセリフや歌を歌う姿、何度も同じ演技を繰り返す姿、たくさん汗を流す姿を見て、「みんなが頑張っているから、私も頑張ろう」とまた勇気をもらいました。そして本番当日にみんなと円陣を組んだ時、みんなと心が一つになったと感じた瞬間でした。演劇は、みんなと心と勇気が一つになれた、本当に大切な思い出です。大熊町に戻ってからのこの一年間の思い出を振り返ると、必ず「みんな」がいます。みんながくれた勇気を私は忘れません。みんなに出会えて本当に良かったと心から思います。本当にありがとうございました。

 在校生の皆さんは、何か困ったことがあったらすぐ助けてくれる存在でした。私たちは、本日この学び舎ゆめの森を卒業します。今まで私たちが繋いできたバトンを在校生の皆さんに渡そうと思います。このバトンは、ゆめの森には、大事なものです。ゆめの森は、いろんな年齢の子どもたちが集まって一緒に活動し、一緒に学べる場所だと思います。年下の子を助けたり、時には年上の子を応援したり、お互いを大切にし合える環境で、たくさんのことを学んで欲しいです。
私たちが受け継いできたよさこいソーランの伝統を、次に入学してくる新しい子どもたちにも伝えてください。みんなが、今まで私たちを助けてくれたように、これからも転入学してくる子どもたちにやさしく接してほしいと思います。これからも頑張って、この学び舎をもりあげてください。私たちはいつでも在校生の味方です。応援しています。

  最後に、お父さん、お母さん。これまで私達を支えて下さったおかげで、不安などを乗り越え、今日卒業の日を無事に迎えることができました。
お母さん、とても美味しいお弁当を作ってくれたり、時には良い相談相手となってくれたり、私達を支えてくださりありがとうございました。おかげで自分の道に自信を持って進むことが出来ました。
 お父さん、仕事が忙しい中、受験生であった私達を応援し、時には強く叱ってくれてありがとうございました。お父さんの叱咤激励の言葉が、立派な高校生への大きな一歩になりました。
私達の姿は、小学校を卒業したときよりも大きくなりましたか?今まで、本当にありがとうございました。
 皆さんへの感謝と私達の想いをこの歌詞に込め、この歌を歌います。
(二人で)「旅立ちの日に」

高らかに歌い上げる二人。ファインダーが涙で滲む。

 私達は、本日、この青く広い大空に旅立ちます。困難にぶつかり、悩むこともあるはずです。しかし、みんなにもらった勇気、先生方のアドバイスを思い出し、家族への想いを胸に毎日頑張っていきます。
最後に、学び舎ゆめの森の発展をお祈りしつつ、答辞といたします。

令和六年 三月十三日 卒業生


二人から手渡された 大切な大切な「バトン」は
今 確かに ずっしりと 私たちの手にあります。
その重さをゆめの森みんなで噛み締め
私たちは 明日を迎えます。

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